2018.08.31

地域食材生産者インタビュー/株式会社スリーピークス 峰岸一郎さん

サフラン栽培を
人々の健康につなげたい

 


株式会社スリーピークス代表取締役社長、峰岸一郎さん

 

国産サフランの

大いなる可能性を信じて

 

山梨県甲府市で51年、製造業を営んできましたが、約3年前からサフランの栽培を始め、2017年に農業法人を起業しました。サフランはアヤメ科の多年生草本の花の中央にある雌しべを摘み取って乾燥させたもので、江戸時代中期から日本で栽培されている、生薬の1つです。独特の香りと風味があり、水に入れると鮮やかな黄色になることから、料理のスパイスとしても世界各国で使われています。医薬品としては古来から血行改善や生理不順、心身不調改善などに効果があると知られてきました。

起業のきっかけはいろいろな要素が重なりますが、10年前のリーマンショックで売上が半減するなど悩ましい状況になったことが挙げられます。従業員の雇用のことなどを考えると1つの事業だけでは不安を感じ、創業50周年という節目を迎えるタイミングでもあり、新しい事業を模索していました。ちょうど父親の病気も重なり、医療、生薬の分野で何かできないかと検討していたところ、サフランに出会ったのです。

試しに球根を買い、箱に入れたまま2、3ヶ月放置してしまったのにもかかわらず、たくましく芽が出ていました。暗い中でも発芽する強い生命力を感じ、サフラン栽培へと踏み出しました。

栽培については、山梨県農政部や生産高日本一の大分県竹田市のJA、サフラン研究の第一人者、長崎国際大学薬学部の正山征洋先生らにご協力いただき、大量生産に取り組むことができました。

 


サフラン、サフランほうじ茶、サフランキャンディー。

 


赤色のサフラン。水につけると鮮やかな黄色になる。

 


サフランの研究のため、取り寄せた資料。

 


畑は川沿いにあり、自然を身近に感じる環境。

 

有機栽培による

プレミアムなサフラン

 

サフランは花の雌しべを乾燥させて作ります。10~12月に紫色の花が開くと、花摘みをし、3本の雌しべを手作業で採取します。採取が終わると球根を畑に植えて、芽かきを行い、2本程度残します。1~5月は土の中で育てて、分球します(1つの球根が2つになります)。6~10月後半は木箱に入れ、暗室倉庫の中で保管します。

畑では農薬や化学肥料を使わず、有機栽培を行っています。今年度、有機JAS認定を予定していますが、国産の有機栽培のサフランは初めてだと思います。雌しべを採取するのは11~12月で、同時に乾燥作業に入ります。出来立ても香りがいいのかもしれませんが、乾燥状態で保管しておけば、香りはいつまでも残り、色も素晴らしい黄色が出てきます。

こちらではサフランそのものだけでなく、地元の企業と一緒にサフランキャンディーとサフランほうじ茶を開発し、販売しています。

 


サフランの球根。倉庫の中で保管されている。

 


1つの球根を2つに分ける分球。

 


通気性の良い、木箱の中で保管される。

 

 

人々の健康のために

生薬としてのパワーを発信したい

 

サフラン栽培を始めて4年目となりましたが、日々、修正点を見つけ、改善に取り組んでいます。製造業で培った分析し、改善するという作業は、農業にも役立っています。1年に1度しかその成果が確認できないので、改善したことが成功に繋がったときは感動に値します。

サフランはまだまだ人々の暮らしや料理に浸透していませんが、サフランを使った料理は、その美しい見た目から食卓に幸せを届けてくれると思っています。いろいろなレシピがありますが、カレーに入れたり、ご飯と一緒に炊いたり、スープ類に入れるのがおすすめです。

また、サフランはもともと生薬として使われていたという歴史があり、最近では脳梗塞などの脳障害の予防にも効果があるという研究発表も出されています。健康、医食同源というキーワードで、山梨の名物としてレシピや活用の仕方を世界に発信していきたいですね。

 

 

株式会社スリーピークス

山梨県甲府市増坪町74

http://kitsune-farm.com/

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